4「転換」

 明日から日曜にかけてどうにも時間が取れそうにないので今回は前倒しで書いています。いつもの土曜日のオフモードと違い、臨戦状態の継続中の平日夜。今日も色々ありました。しばしお付き合いを。

 農吉の話。野菜販売部門の責任者になってもうすぐ1年。現場に張り付いて出荷頂く農家を知り、販売お客様を理解し、そこで働く社員と接してきた。これまで事業がなかなか収益化せず、その状況を打破するためにお声をかけてもらった訳で、僕の得意領域(まごやさいの事業モデル)に早く持ち込んで一気呵成に変えた方がやりやすかったのかもしれない。

 しかし、そうはしなかった。外から来た人間が現状の事業を否定することは、その社員を否定することに繋がりかねない。5人の小さな組織、人心が離れれば一気に事業自体が瓦解してしまう。まずは事業がどう回っているのか理解し、課題を見つけて一つ一つ改善することで出口を目指せないか模索した。そしていくつかのことに手を付けた。そのほとんどは業務の効率化のためのものだった。

 効果は若干出た。一つは損益額の改善。もう一つは残業時間の削減。しかし、その成果は到底満足できるものではなかった。それを一生懸命やって大きくしたら明るい未来が描けるか、みんなに還元できるだけの利益を上げることができるか。僕には今の延長上に未来はないように思えた。そして、事業を大きく方向転換することを決めた。

 方向の一つは直接販売比率を高めること、もう一つはトラックで各地を回る集荷体制を止めて地元農家中心の出荷にすること。言ってみれば今の事業の真逆に近い。幸い、一緒にやってきたメンバーは、ここに至る過程で何故この方向転換が必要なのかは理解してくれたように思う。

 しかし、これまでのお取引先や農家さんにとっては青天の霹靂。集荷を止めるにあたって当面野菜の取扱量が減り、現状の卸先に販売中止を伝えないといけない。もっとキツイのは農家さん。これまで家まで取りに来てくれて、その上ほぼ言い値で全て買い取っていた会社が急にそれを止めるというのは猛反発を招きかねない。

 しかも、農吉は農家支援を掲げて事業を推進した経緯があり、それが高じてボランティアに近い状態で事業を行ってきた。それが常態になっていたところに、僕が収益を掲げて事業を変えようとするのは、農家さん側からは守銭奴にも見えよう。事業を継続させることができなければ農家さんのお役にさえ立てないこと、全ての農家さんに同様のことを提供するのは難しいこと等、主要な農家さん一軒一軒に足を運んで説明した。

 大口の取引先には2月初めから交渉に入り、いよいよ大詰め。来週には本社商品部で最後の説明、何とか理解をしてもらい、綺麗に決着させたい。

 残念ながらこの間に社員の退職者も出た。もしこの社員が明るい未来を感じていればまだ居てくれたかもしれない。3月からはさらにスリムな体制になって、大きな変化の中で今以上の業務をすることになる。実際楽ではないけど、僕は行く先が楽しみだ。色々やってみたいこともある。まごやさいの事業にとってもプラスになるはずだ。

 今日は、そんな過程の中での一日。前に進むための撤退戦。殿(しんがり)こそ力量が問われる。力が無いと軍は全滅の危機にさらされるとか。はて、僕にそんな力があるのかなあ。。。

 週末は愛知県豊田市での講演、切り替えて、今度は進出戦?の先鋒で頑張ってきます!

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