36「できること」

決算数字が出た。

一応最終黒字。これには臨時収入を組み入れており、営業利益は2期ぶりの赤字だった。最後2か月で十分挽回できるはずだったが、逆に失速してしまい悔しさが募る。

原因は色々あるけど、シンプルに言えば利益を生む事業構造にできていなかったということだろう。単年の黒字で「できた」と思った浅はかさ。自分が抜けても「十分イケる」と考えた見通しの甘さ。いずれにしても結果が出た以上、今の延長上に明るい未来はない。

これまで都度現れる課題を一つ一つ潰していきながら現在に至った。もちろん今でも多々の課題があり、今回の結果を受けてそれがさらに明確になった状況だ。これをまた潰し続けていくべきか、事業の構造そのものに手を入れるべきか。後者をしないと今後の成長は見込めないのではないかと思い始めている自分がいる。

「どうすれば?」と考えるもここで邪魔をするのが過去。どうしてもこれまでのやり方が染みついており、その土台を外して考えるのが案外難しい。移動の車中で、作業の間に、寝る前にほぼ無意識に考え始め、考えが過去に引っ張られた感覚に気付いて思考を巡らせている自分を自覚する。

新しいことをするのは怖いし、上手くいく確証もない。それでも一人でできる範囲であればやりやすかった。それがメンバーが増え、2つの組織にまたがり、新たな方向に動かそうとするとどうしても現在に軋みが出てしまう。現状では自分もそのオペレーションの中に組み込まれているだけに、変化の負荷を理解し躊躇する面もある。それでもやるしかないんだけどね。

この度、ノーベル生理学・医学賞を受賞された本庶佑氏のインタビューでたまたま耳にした言葉が心に刺さった。「できることをしていたのではだめ」。

「何かできるかではなく、何を知りたいか・・・」の一節の後半部分に出てきた言葉と記憶しているが、まさにそうだ。大いなる目標を達成するためには、出来ることだけしていたのでは到底届かない。ぶれない目標と強い意志を持って「できること」を乗り越えていきたい。

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