Vol.464「ものさし」

木曜日、イノベーションサミット広島に行ってきた。湯崎県知事肝いり「イノベーション立県」の総会的な位置付けのイベントで、開会の挨拶はもちろん湯崎知事、基調講演は今をときめくディープラーニングの第一人者、中尾彰宏氏(東大特任准教授、AI系の番組出演多数)、後半は著名ベンチャー企業によるビジネスプレゼン(後援はKDDI、ムゲンラボというインキュベーション事業を運営)という超豪華版。NTTクレドホールはほぼ満員、独特の熱気がある最近あまり感じたことがない雰囲気のイベントだった。

僕はもちろん一視聴者としての参加。参加した理由は一つ、パネルディスカッションで登壇される(株)エムスクエア・ラボの加藤社長の話を聞くことだった。「農業×ANY=HAPPY」を掲げ野菜流通・農業生産性改革・教育など幅広く手掛け、日本政策投資銀行主催の第一回女性ビジネスプランコンペティションにて大賞を受賞した注目の農業系ベンチャー企業。このパネルディスカッションの司会進行をされるのは田村大氏(イノベーターズ100広島の企画&ファシリテーター)で、この方はひょんなご縁でまごやさいに来られたことがあり、その田村氏経由で加藤社長にご紹介いただけるかもという淡い期待もあった。

会場に早めに入り知り合いの方々と話していると、登壇者各位がわりと早めに最前列に着座された。「今だ!」とばかりに田村氏にご挨拶に行くと僕のことを一応覚えて下さっており、その右横に座っておられた加藤社長に半ば強引にご挨拶した。二言三言言葉を交わして時間切れ、席に戻り前半最後のパネルディスカッションで加藤社長の話しを聞いた。それで更に次々と聞きたいことが沸き上がり、ご迷惑を顧みず前半終了直後に再度話しに行った。2つ質問したところで後ろを見ると名刺交換待ちの方々が多数お待ちになっておりあえなく質問は終了。それでも最も聞きたかったことは聞くことができた。合わせてたった5分程度の会話であったがとても貴重な機会となった。そのうち静岡の本社に話を聞きに行ってみたい。

今回のイベント、僕にとって別の大きな気付きがあった。それは「スケールとオペレーション」。加藤氏に限らず今回登壇されて話された方の共通点は、事業や環境の捉え方が広く大きいということ。そういう大きな“ものさし”を使って必要な物やサービス・巻き込む関係者を考えるので事業のスケール感がとても大きい。かたや、僕がそうであるように「現場のオペレーション」を先に考えながら事業を組み立てると事業の範囲が小さくなりがちな気がする。これってこれまでの仕事環境が大きく影響しているのかもしれない。2社目のベンチャー企業時代は、夢を語り風呂敷を広げる社長の横で、それをどう業務に落とし込むかを考えサービス化し実行してきた9年間だった。広げた風呂敷を適度に折りたたんで小さくし、その時のメンバーでどう回るように持っていくかを考え実行するのが仕事のほとんどだった(これはこれで結構やりがいはあった)。独立して以降もそう、現有戦力(当初は僕一人)をベースに「どうやったら回るか」を先に考えてしまい、結局出来上がるものは無難な小さなサービスに寄りがちで、いつの間にか無意識のうちにそう考えてしまう思考回路が出来上がっていた気がする。気付けば変えられるかもしれない。才能的なものもあるのだろうが、努力してみる価値はありそうだと思った。

それと、そんなスケールの大きな事業家や先駆者の話を聞きくと、これまでなら嫉妬心とその後に来る自信喪失というのが僕のお決まりのパターンだったけど、今回はある種の爽快感を感じた。50歳にして初めてかも。何て小さな人間か、たぶん僕は何かにつけ勝ち負けで物事を見てしまう性格なんだろうと思う。それで元気を無くしてたんじゃ話にならないね。いや~完敗、ええ勉強させてもらいました。勝ち負けのフィルターを通したら見えなくなるものがある。Win-Winは勝ち負け視点じゃないよね。無い才能を嘆くより、そんな才能を持った人と繋がりスケールを大きくしていきたいね。所詮一人じゃ出来ることは限られている。自分のものさしをより大きく持ちたい。

2019年はまごやさいと農吉を巻き込むような仕掛けを考えたいと思っている。今回のイベントに参加できて本当に良かったし意味があったと思う。今の現状を前提条件とせず、視点を上げて改めてやるべきことを考えてみたい。何をするか?、またそのうちここでご紹介します。

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