16「ホタル」

 夜の帰り道、フロントガラスの向こうでスーっと小さな光が横切った。あれ、気の早いホタルが飛び始めたのかな。娘にラインするとすぐに「ホタルいいね」と一言返信あり。その後、仮免許に受かったことやバイトの始めたことなど近況も送信されてきた。ホタルが好きな彼女は、学校の迎えから帰る時に「ホタルを見に行こう」とよく誘われた。そして自宅の前の川にしばらく車を止めて音無く飛び回る緑の光を眺めた。つい昨年までのことなのに何だかかなり昔のように思える。

 ここにきて野菜の出荷が一気に増えてきた。まごやさいは例年通り1回に出荷される野菜の“のべ種類数”(1農家あたりの野菜種類の合計=インターネットの注文リスト項目数と同数)は120種を越え始めた。冬場の一番少ない時期でだいたい80種ぐらい。一番多い10月は200種を越える日もしばしばある。

 昨年から農吉でもまごやさいの同様の近隣小規模農家を中心に野菜を集めるようになり、こちらでも出荷量が一気に増えてきた。のべ種類数はまだ60種ぐらいだけど、1軒当たりの出荷量が多く、金額的には既にまごやさいと近い額になっている。一応それを予測して出荷農家さんのお一人に声をかけ、アルバイトで来て頂くようにしたものの、このペースだとさらに増員しないといけないかも。

 新MAGO-NETも順調に稼働し始め、まごやさいと農吉が連動して販売できるインフラは整った。次にすべきは取引先の新規開拓と農吉のスタッフが新MAGO-NETを運用できるようにすること。並行して6月半ばの南伊豆湯の花様の新MAGO-NETのシステム切り替え、7月の九州電力様への新MAGO-NET導入をしなければならない。

 他の地域でも新MAGO-NET導入の話しが進みつつあり、こちらも頑張らないといけない。「小規模農家連携型狭域野菜流通」と名付けた当初は理解もされず、少し知られるようになっても「上手くいくはずが無い」と揶揄されたものだが、ここにきてようやく少し期待される状況にはなってきたようだ。

 ただし、いくら各地で新MAGO-NETが導入されたとしても、これはあくまでシステムであって事業が自動的に回るわけではない。事業が軌道に乗らなければ期待値以上の失望やクレームになるのは目に見えている。人が関わって動かして初めて事業が回り始める。だからこそ、まごやさいの事業を磨き続け、それを他地域にノウハウとしてご提供できるようにしなければならない。まごやさいが7年かかって来た道のりを1年で実現できるようにすること。やるべきことはまだまだ膨大にある。

 今年は過去最高の熱い夏になりそう。こんな時こそ一つ一つ着実に。取りあえず6月の気分転換は川にホタルを見に行くことにしよう。

  • Facebookでシェア
  • ツイッターでシェア
  • LINEで送る